ASCII記号 (半角記号) の読み方と出し方
はじめに
ASCII記号の読み方はANSI/CCITTによって定められています。 ここでは俗称も併せて紹介します。
正式な読み方で最初に来るものはUnicodeでも正式な名称になっている、より一般的な読み方です。 ANSIとUnicodeで正式な読み方が異なる場合、本文中の最初にきているものはUnicodeよりANSI/CCITTを優先していますが、見出しはUnicodeを優先しています。
また、現行規格として見つからないものの、gucharmapに読み方として列挙されているもの(Unicode 1.0における名称を含む)は、英語のみで後続段落で示します。
!
exclamation mark
exclamation mark (エクスクラメーションマーク).
factorial, bang.
excl(エクスクル)という略し方をよくします。俗称として、「バン」というのがあり、これは専門用語やスラングとして思わぬところで突然登場し、「!だからバンなのか……」ということになりがちです。
また、階乗を表す数学記号として使う場合はfactorial(階乗)と読むこともあります。
出し方は、Shiftキーを押しながら、左上、「1」キーです。
"
quotation mark
quotation mark (クォーテーションマーク), dieresis (ダイエレシス).
ほとんどの場合、「ダブルクォート」と呼ばれ、正式名で呼ばれることは稀です。 また、dieresis(分音記号)として使われることは、現代においてはないため、この呼び方をすることは混乱を招きます。
出し方は、日本語キーボードではShiftを押しながら「2」キー、USキーボードでは中段右のキーが「’ “」となっており、Shiftキーを押しながら押します。
#
number sign
number sign(ナンバーサイン), square (スクエア).
pound sign, hash, crosshatch, octothorpe.
現実的には「ハッシュ」または「シャープ」と呼ばれます。
日本では「井桁(いげた)」と言われることもあります。
#
でタグづけをするから「ハッシュタグ」というわけですね。
シャープ(♯)や井桁(#または井)は実は該当する文字が存在するため、この呼び方は混乱を招く可能性があり、できれば避けたほうが良いでしょう。
記号そのものを指してナンバーサインと言うことはまずありませんが、スポーツなどでエントリーナンバーを指して、例えば #10 と書いて「ナンバーテン」と呼ぶことはかなりあります。特にモータースポーツでは非常に頻繁に使われますが、この場合日本語では「#10とかいて10号車と読む」というのが普通です。
さらに、アメリカだと重量単位ポンドに使うため、「ポンド」と読んだりするのですが、通貨単位ポンドの記号は別に存在し(£)、さらにUKキーボードだとキーボードから直接打てますから、これも混乱を招く呼び方です。
出し方はShiftを押しながら「3」キーを押します。
$
doller sign
doller sign (ダラーサイン)。
milréis, escudo.
日本語ではdollerを「ダラー」とは言わないので、普通に「ドル」と言います。 また、ESCキーの入力を視覚的に表すときに使うため、「エスケープ」と呼ばれることもありますが、これは使われる状況が非常に限定されます。
出し方は、Shiftを押しながら「4」キーを押します。
%
percent sign
percent sign (パーセントサイン).
ほぼパーセントとしか呼びません。略してパーといったりはします。
出し方は、Shiftを押しながら「5」キーを押します。
&
ampersand
ampersand (アンパサンド).
普通に「アンド」もしくは「アンパサンド」です。
出し方は、日本語キーボードではShiftを押しながら「6」キーを、USキーボードではShiftを押しながら「7」キーを押します。
'
apostrophe
apostrophe (アポストロフィ), closing single quotation mark (クロージングシングルクォーティーションマーク=閉じ単一引用符), acute accent(アキュートアクセント).
apostrophe-quote.
この記号は少し複雑です。 まず、ANSI的にはこの記号はアポストロフィなのです。クォーテーションマークではありません。 さらに現在は単一引用符(❛❜)はちゃんと開き、閉じともに別に存在しています。
しかし、クォーテーションマークそのものがコンピュータ的に基本的な要素であり、なおかつASCIIが最も基本的な文字の集合であることから、アポストロフィとしてだけでなく、引用符としても使われます。 この場合、ダブルクォートと区別して「シングルクォート」と呼ぶことになりますが、ダブルクォーテーションマークのペア(❝❞)と同様にシングルクォートのペアも別に存在し、それでありながらシングルクォートと言ったときには基本的にはアポストロフィを指します。
この区別は、実際の使われ方で「ペアで使われる引用符か、アポストロフィか」で区別されます。
アキュートアクセントは別に存在しますから(´)、現在はそのように呼ばれることはありません。
出し方は、日本語キーボードではShiftを押しながら「7」キーを押します。 USキーボードでは中段の「’ “」キーを押します。
(
, )
parenthesis
open/close parenthesis(オープン/クローズ パーレンテシス), left/right parenthesis(レフト/ライト パーレンテシス), parenthisey/unparenthiset(パーレンシシ/アンパーレンシシ).
開きカッコ、閉じカッコで良いと思います。 パーレンテシス、略してパーレンでカッコのことを指しますが、この手の「開き・閉じ」があるものについて、単語の前半と後半を分けて呼ぶことがあります。この場合、「パーレン」で開き、「テシス」で閉じです。
出し方は、日本語キーボードの場合、Shiftを押しながら「8」と「9」です。 USキーボードではひとつズレて、「9」と「0」になります。
*
asterisk
asterisk(アスタリスク).
スターと呼ぶこともあります。技術スラングとしては、ワイルドカード、グロブと呼ぶこともあります。
出し方は、日本語キーボードではShiftを押しながら中段右の「け * :」キーを押します。 USキーボードではShiftを押しながら「8」キーを押します。
+
plus
plus(プラス).
出し方は、日本語キーホードではShiftを押しながら中段右の「れ + ;」キーを押します。 USキーボードではShiftを押しながら右上の「= +」キーを押します。
,
comma
comma(カンマ), cedilla(セディラ).
decimal separator.
ほぼカンマとしか呼びません。
出し方は、下段の「, <」キーを押します。
-
hyphen-minus
hyphen(ハイフン), minus(マイナス).
hyphen or minus sign.
とてもややこしいことに、この記号はハイフンでもありマイナスでもあります。 そのため、記号としては現在は(Unicode上では)「ハイフンマイナス」と呼ばれています。
ほとんどの場合、ハイフンとしてもマイナスとしてもこの記号が使われますが、ハイフン(‐)、マイナス(−)共に独立した記号として存在します。厳密にこの記号であることを表すためには「半角ハイフンマイナス」という言い方をするか、2D
というコード番号で呼ぶ必要があります。しかし、そのような機会は人生においてあるかどうかもわからないようなものです。
さらに、この記号は「ダッシュ」と呼ばれる場合もあります。(あるいは、なまって「ダーシ」) しかし、ダッシュはよりふさわしい記号(‒(Figure Dash), –(En Dash), —(Em Dash), ⸺(Two-Em Dash), ⸻(Three-Em Dash), ﹘(Small Em Dash), ⁓(Swung Dash), 〜(Wave Dash), 〰(Wavy Dash))があり、特にエンダッシュ/エムダッシュは日本語文字集合にもあったことからこの記号をダッシュと呼ぶことはあまりありません。
出し方は日本語キーボードでは右上の「ほ - =」キーを押します。 USキーボードでも同じ位置の「- _」キーを押します。
.
full stop
period(ピリオド), Full stop(フルストップ), decimal point(デシマルポイント)。
dot.
ピリオド兼小数点です。また、一般的な呼び方として「ドット」もあります。「ドットコム」なんかで馴染みがありますね。 なぜかUnicodeではFull stopという馴染みのない呼び方になっています。
出し方は右下、「. >」キーです。
/
solidus
slant(スラント), solidus(ソリダス).
まず間違いなく「スラッシュ」と呼ばれます。 また、除算表現として使うこともあり、この場合は「割る」と読むこともあります。 あるいは、分数表現として「分の」とも。
出し方は右下、「/ ?」キーです。
:
colon
colon(コロン).
英文では割とよく出てきますが、あまり馴染みはないかもしれません。 プログラミングやコンピュータのデータ表現では頻出します。
出し方は、中段右のキーで、日本語キーボードでは「け : *」キー、 USキーボードではLの隣「; :」キーをShiftキーと共に押します。
;
semicolon
semicolon(セミコロン).
コロンよりさらに馴染みがないかもしれません。
出し方は、中段右のキーで、日本語キーボードでは「れ ; +」キー、 USキーボードではLの隣「; :」キーを押します。
<
,
>
less than sign, greater than sign
less than(レスザン), greater than(グレーターザン).
小なり、大なりですね。 三角カッコ(山カッコ)としても使い、この場合アングルと呼ばれます。 ブラケットと呼ぶこともあり、分けて「ブラ」「ケット」と言うこともあるのですが、ブラケットというと角カッコのことも指すので、避けたほうが良いでしょう。
LinuxやUnix環境では「イン」「アウト」という言い方をしますが、これは記号を読んでいるわけではなく、用法に基づくものです。
出し方はShiftを押しながら右下、「, <」キー、「. >」キーです。
=
equals sign
equals sign(イコールズ サイン).
出し方は、日本語キーボードではShiftを押しながら右上「ほ - =」キー、USキーボードでは最も右上の「= +」キーです。
?
question mark
question mark(クエスチョンマーク).
出し方は、Shfitを押しながら右下「/ ?」キーです。
@
commercial at
commercial at(コマーシャルアット).
アットマーク(アット)以外の読み方はまずしないでしょう。シュトルーデルとかかたつむりという言い方もありますけれど。
出し方は、日本語キーボードでは「゛ @ `」キー、USキーボードではShiftを押しながら「2」キーです。
[
, ]
bracket
opening/closing bracket(オープニング/クロージング ブラケット).
ブラケット、あるいは角カッコです。
出し方は、日本語キーボードでは上段と中段の最も右のキー「゜ [ {」と「む ] }」です。 USキーボードではPの隣にならんでいます。
\
reverse solidus
reverse slant(リバーススラント), reverse solidus(リバースソリダス).
ほぼバックスラッシュとしか呼ばれません。中には「スロッシュ」と呼ぶ人も。
出し方は、日本語キーボードでは最も右下のキー「ろ \ _」です。 USキーボードでは多くの場合、上段最も右、エンターキーの上にあるキーなのですが、このキーはキーボードによっては他の場所に押しやられていることもあります。
お使いのフォントによってはバックスラッシュではなく、円マークに見えるかもしれません。 これは、同じ 5C16 というコードが、アメリカの文字集合(ASCII)ではバックスラッシュなのに対し、日本の文字集合(JIS X0201)では円マークになっています。
これは難しい問題です。ほとんどの場合、「バックスラッシュ」と「円マーク」は同じものを指していると考えてよく、筆者の意図によって、「バックスラッシュに見えているが、円マークだとみなすべき時」と「円マークに見えているが、バックスラッシュとみなすべき時」が存在しています。
円マークは現在は分離されており、 A516
というコードに「¥」という文字が与えられ、このコードを使うことでより確実性の高い方法で円マークを示すことができます。
しかし、 A516 (=
U+00A5
)は全てのフォントで円マークが出るというわけでもなく、またバックスラッシュを
5C16 (=
U+005C
)以外で表現する方法もないため、バックスラッシュと円マークが概念的に分離できるわけではありません。ですから、見た目に惑わされずこの概念をいっしょくたに扱う必要があります。
バックスラッシュがコンピュータ上で非常に特殊な文字として扱われることが問題をより複雑にしています。
^
circumflex accent
circumflex accent(サーカムフレックス).
ハット、あるいはキャレットと呼ぶことのほうが多いでしょう。
出し方は、日本語キーボードでは右上、「へ ^ ~」キー、 USキーボードではShiftを押しながら「6」キーです。
_
low line
underline(アンダーライン), low line(ローライン).
spacing underscore.
アンダースコアとも言います。どちらかといえばそのほうがより一般的です。
日本語キーボードでは最も右下、「ろ \ _」キーをShiftキーと共に押します。 USキーボードでは右上の「- _」キーを押します。
`
grave accent
grave accent(グラーブアクセント), opening single quotation mark(オープニングシングルクォーテーションマーク=開き単一引用符).
ほとんどの場合、バッククォート、あるいはバックティックと呼びます。本当に'
と組み合わせて使うことはあまりありませんし、アクセント記号として使うことも現代においてはありません。
出し方は、日本語キーボードの場合上段右「゛ @ `」キーをShiftキーと共に押します。 USキーボードでは最も左上の「` ~」キーです。
{
, }
brace
opening/closing brace (オープニング/クロージング ブレース), left/right curly bracket(レフト/ライト カーリーブラケット), left/right brace(レフト/ライト ブレース)
ブレースです。カーリーブラケットということもあります。
出し方は日本語キーボード、USキーボードともに、ブラケット( [] )の出し方にShiftキーをあわせたものです。
|
vertical line
vertical line(バーチカルライン), vertical bar(バーチカルバー).
バーチカルバーとか、単にバーと呼ばれることが多いでしょう。 Unix文化圏では「パイプ」と呼ばれることもあります。
出し方は、日本語キーボードでは最も右上の「\ |」キーをShiftと共に押します。 USキーボードではShiftと共に、多くの場合、上段最も右、エンターキーの上にあるキーなのですが、このキーはキーボードによっては他の場所に押しやられていることもあります。
~
tilde
tilde(チルダ).
出し方は日本語キーボードの場合、Shiftと共に「へ ^ ~」キーですが、環境によってはShiftと共に「0」キーでも通用します。 USキーボードではShiftを押しながら、最も左上の「` ~」キーです。
なお、日本語における「全角チルダ(〜)」と「波ダッシュ(〜)」はよく似ていますが、別の文字なので注意してください。