USBの説明とType-Cとの付き合い方

はじめに

最近USBの形が変わってきました。

従来は小さな台形のものと、大きな長方形のものが使われていましたが、 最近の新しいスマホやラップトップ(ノートパソコン)では長円形のものが使われていることが増えています。

これはUSB Type-Cという新しい形状です。 従来のケーブルなのが使えなくなったりしているため、戸惑っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回はUSB 3.1/Type-Cについてと、特にラップトップにおいてUSB Type-C/Thunderbolt3に集中したインターフェイスとどう活用するかについてお話します。

USB自体の規格と速度

昔のコンピュータは機器ごとに専用の接続口がありました。たとえばキーボード用のもの、マウス用のもの、プリンタ用のもの、ゲームのジョイスティック用のもの、などです。 これらをなんでもつなげるように、と汎用性のある規格として作られたのがUSBです。

USB1.0はあまり使われず、最初に使われたのはUSB1.1でした。 規格上、12Mbpsの速度があるとされていますが、実際にはほぼ1.5Mbpsの速度しか出ませんでした。

この速度の意味についてご説明します。

Mbpsというのは「一秒あたりのビット数」です。 単位としてビットを使うことは日常あまりないでしょう。 数値としては「8b(ビット)=1B(バイト)」です。 ですから、8Mbpsの転送速度は、2MBのファイルを転送するのに2秒かかる、ということになります。

1.2Mbpsというと、「1GB(ギガバイト)のファイルを転送するのにかかる時間」は約14分です。 今時だと動画ファイルなんて平気で1つ数GBはありますから、なかなか大変ですね。

ですから、USB1.1はキーボードやマウス、プリンタなどを接続する目的で使われ、 USBメモリーのような「大きなデータを扱う機器」はあまり使われませんでした。 USBメモリーもあるにはありましたけれど、USB1.1だと512MBあたりが最大だったのではないでしょうか。

2000年から新しい規格のUSB 2.0が登場しました。 最大速度はなんと480Mbps。12Mbps(Full-speed)でも40倍、1.5Mbps(Low-Speed)比では実に320倍にもなります。 物理輸送力で考えると「東京大阪間が24時間かかっていたのが4分半に」「今までリュックで運搬していたものが2tトラックに」というレベルです。

USB 2.0により、データを保存するUSBメモリーや、メモリーカード、DVDライターなども実用的に動作するようになりました。 USB 2.0によって速度を必要とする機器もUSBに統一することができるようになりました。

USB 2.0は広く使われていました。 しかし、480Mbpsという速度は条件次第では不十分でした。 例えば有線LANの1000BASE-Tは1000Mbps(1Gbps)、しかも全二重で、USB 2.0接続の480Mbpsよりも大きいため、十分な速度が出ません。 さらに、HDMIでフルHD/30FPSの映像を転送しようとすると1866Mbps(=1.866Gbps)もの帯域が必要となります。そのため、映像出力アダプターにはだいぶ辛いものでした。

そして、2008年にUSB 3.0が登場しました。 最大5Gbps(=5000Mbps)とさらに大幅の高速化。 一見「10倍以上になった」ように見えますが、実は帯域で見ると20倍以上になりました。

USB 2.0までは半二重という通信方式でした。 半二重とは、トランシーバーのように、「片側が送っているときはもう片側は送ることができない」というものです。 そのため、あくまで片道での480Mbpsです。1秒のうち送信しているのが0.5秒、受信しているのが0.5秒だとしたら、最大で240Mbpsということになります。

USB 3.0からは全二重通信になりました。 これにより、つないでる両方がそれぞれ同時に送信できるようになりました。 よって、送信で5Gbps、受信で5Gbpsと最大で合計10Gbpsのデータをやり取りすることができます。 これにより、大容量のデータも高速にやりとりできるようになり、さらに使い途が広がりました。

しかし、USB 3.0になると「コンピュータの内部基盤の速度」が問題になってきました。 こうした接続は、コンピュータの内部で通信するための線からつながって外側に出している形です。 コンピュータの内部の線の数というのは限度があるため、「内部を含めつながっているすべての機器の合計速度」に限りがあります。

USB3.0になるとかなり速度が上がったため、あまり多くのUSB 3.0ポートを用意することは難しくなりました。 従来のデスクトップパソコンであれば、8から20程度あるUSBが全てUSB 2.0だったのですが、USB 3.0はそのうちの4から8程度にとどまりました。

これはこのような「帯域的に厳しい」という理由もありますが、多くのUSB機器がそこまでの速度を必要としなかったため、「すべてUSB 3.0にしないといけない」という理由が乏しかったというのもあります。

2013年にUSB 3.1が登場しました。 これはUSB 3.0のさらに倍、10Gbpsに達します。 2017年には20GbpsにもなるUSB 3.2が発表されています。

規格と差込口

USBのプラグとソケットは次のようなものがあります

おおよそ次のような経緯になります。

USBには後方互換性があるため、接続されている「ホスト側機器(コンピュータ)」「ケーブル」「機器」の3つのUSB規格のうち、「もっとも低いバージョンの状態で」接続することができます。 しかしこの中で、USB 3.0 Type-Bのプラグ(ケーブル)をUSB 2.0 Type-Bのソケットに挿したり、micro USB 3.0 Type-BのプラグをUSB 2.0 Type-Bのソケットに挿したりすることは物理的にできません。

micro USB 3.0 Type-Bの形は結構変わっていて、私は1度しか見たことがありません。 スマートフォンなどでよく見るmicroUSBの形状は「microUSB 2.0 Type-B」になります。

区別が難しくなったUSB 3.2

USB 3.1とUSB Type-Cは混同されがちですが、別のものです。 前者は通信規格、後者は端子の形状です。

USB 3.1は10Gbpsの転送速度を実現しました。 10Gbpsの転送速度はUSB 3.1で追加されたものですが、従来USB 3.0にあった5Gbps転送もUSB 3.1の規格もあります。

この関係は次のようになっています。

さらにUSB 3.2ではUSB 3.1をデュアルレーン化することで3倍の速度を実現しました。 これにより、10Gbpsの転送速度は、1本で10Gbpsのパターンと、デュアルレーンで 5Gbps x2で10Gbpsのパターンが生まれました。

USB 3.2はUSB Type-Cだけになりました。 x2速度での通信に使うケーブルはUSB 3.1 10Gbpsに対応したType-Cケーブルを使うことができます。

また、これに伴ってUSB 3.1にmicroUSBケーブルが復活し、USB 3.1からType-Cケーブルが削除されました。 これは、USB 3.1 Type-Cケーブルは自動的にUSB 3.2に対応するため、「USB 3.1であってUSB 3.2ではないType-Cケーブル」というのは存在しなくなるためです。

名前で区別する方法

転送速度には名前がついていて、これによって区別することもできます。

規格 速度 名前
USB 1.0 1.5Mbps Low Speed
USB 1.1 12Mbps Full Speed
USB 2.0 480Mbps High Speed
USB 3.0 5Gbps Super Speed
USB 3.1 10Gbps Super Speed Plus (Super Speed+, Super Speed USB 10Gbps)
USB 3.1 5Gbps Enchanced SuperSpeed Gen 1x1
USB 3.1 10Gbps Enchanced SuperSpeed Gen 2x1
USB 3.2 5Gbps Enchanced SuperSpeed Gen 1x1
USB 3.2 10Gbps Enchanced SuperSpeed Gen 2x1
USB 3.2 10Gbps (5x2) Enchanced SuperSpeed Gen 1x2
USB 3.2 20Gbps (10x2) Enchanced SuperSpeed Gen 2x2

規格と充電

USBの進化と電気を流すこと

USB1.1と2.0では5Vで最大500mAの電気を流す仕様です。

仮にスマートフォンを充電すると考えましょう。 そして、そのスマートフォンのバッテリーは3.7Vで3,000mAhです。1

全く損失がないとすると、100mAで充電できればからっぽの状態から22時間ちょっとでフル充電できます。もちろん、電源オフにしての話です。

5Vで100mAというと2.5W(2500mW)です。これを越える機器は動作しません。 3.5インチのハードディスクは消費電力が5Wから10W程度ですから、USB接続のハードディスクはUSBの電気だけでは足りず、コンセントに差すことになります。2.5インチのハードディスクはアイドル時0.5W程度であるため、2.5インチの外付けハードディスクはUSBだけで動作したりします。2

このようにキーボードなどの”USB機器”が動作するのに必要な電気を供給するものであり、そもそもUSBは充電のためのものではありませんでした。 オーディオプレイヤーなどUSBで充電するような機器も少しはありましたけれども、バッテリーも小さく、消費電力も少ない機器ばかりです。

ところがUSB 2.0の時代に、USBを使って充電する機器がどんどん増えてきました。 スマートフォンもそのひとつです。 これらは1000mAを越えるバッテリーを搭載し、消費電力も大きいものです。 しかもスマートフォンなどは「使いながら充電する」ものですから、時間をかければよいというものではなく、消費電力よりも給電電力が少ないとバッテリーは減っていってしまいます。

こうしたことや、USB接続の機器が増えて比較的消費電力の大きな機器が増えたことから、USB 3.0では900mAの電力を流すことができるようになりました。3

充電スペシャルなUSB

一方、スマートフォンの充電などにおいてはこれではまるで足りません。 そこで2007年にUSB Battery Chaging Specification(USB BC)が定義されました。 これはUSB 2.0においてデータ転送(電気信号)に使っていた配線を電気(電力)を流すことに使うことでよりたくさんの電気を流して速く充電しようというものです。 2010年制定のUSB BC 1.2においては0.5A(500mA)から1.5A(1500mA)の電気を流して充電することが可能です。

しかしこれではまるで足りないのが実情です。 市場には独自のやり方で2.0A, 2.1A, 2.4A, 果ては2.7Aの電気を流すことができる充電器やケーブルが溢れました。 USBは安全設計ですが、設計以上の電気を流す場合には安全性が保証できません。 これはよくない状況です。

そこでUSB Type-C(これは2.0でも3.0でも)においては標準で1.5Aを流すことができ、オプションとして(つまり給電機器やケーブル、そしてそれを受ける機械が対応していれば)3Aの電流を流すことができます。

また、そのような「電気を供給する方法としてUSBを使う」というニーズに併せて、2012年にUSB Powe rDelivery(USB PD)が制定されました。

これは5つのプロファイルがあり、対応しているプロファイルの機器同士での給電が可能です。 次の表はこのプロファイルのまとめですが、「電気」が苦手な人は、「電力」が流す電気の量だと認識してください。

電流 電圧 電力
2A 5V 10W
1.5A 12V 18W
3A 12V 36W
5A 12V 60W
3A 20V 60W
5A 20V 100W

USBで標準的な5Vの1.5Aは7.5Wですから、これまでのUSB規格と比べてずっとたくさんの電気が流せることがわかります。

USB PDによる充電の注意

USB PDに対応した機器同士であれば高速に、あるいは消費電力の大きな機器でも充電できます。 ただし、USB PDでの充電は「対応した電圧でしか行えない」ことに注意してください。4

USB Type-Cを使って給電するタイプのラップトップパソコンの充電に関してはより注意が必要です。 これらのパソコンはUSB PD(基本的には20Vのプロファイル)に対応した充電器(あるいはモバイルバッテリー)で充電することができます。 しかし、MacBookでは問題ありませんが、Windows PCでは問題が生じる場合があります。

これは「規定の電力を下回る充電器を拒否する」という仕様のWindows PCが少なくないことに起因します。 後述のRAVPowerのバッテリーを含め、20Vの供給は1.5Aにとどまる充電器が少なくありません。このような機器での給電は30Wであり、既定値(多くは45Wあるいは60W)を下回るために「拒否する=充電できない」というケースが発生します。

この場合でもWindows PCを稼働させていなければ(つまり、シャットダウンあるいはスリープ状態なら)充電できる可能性があります。

USB PD対応のアダプタを使うことで、外出時にスマートフォンの充電器と兼ねる形でラップトップも充電できます。 場合によってはかなりの軽量化にもつながります。5 コンパクトになるため持ち歩きは楽になるでしょう。

USB PDの場合「電圧V x 電流A = 電力W」という式を覚えておいてください。 電圧が異なる場合は充電できませんが、十分な電気を供給できるかどうかはAまたはWを見ることで知ることができます。 また、ケーブルも対応品である必要があるという点に注意してください。

より複雑なUSB PD以外の充電

USB Type-CによるUSB PDも考えるべきことの多い内容でしたが、 それ以前のmicroUSB Bを使用していたときはより複雑でした。

まずUSB BCについては回線が短絡されている6ことで急速充電モードになる仕組みですので、 「充電専用ケーブルを使う」 or 「短絡されているか、データラインに抵抗が入っているしとき充電器を使う」 のどちらかになります。 (スマートフォンなどの機器によっては充電器に接続するとインテリジェントに判定します)

USB BC 1.2は給電器が自らの給電能力をデバイスに対して通知することができます。 これによって給電器が流すことができ、デバイスが受け入れられる最大の電気を流すことができます。 デバイスが通知に応答しない場合は安全のため0.5Aで給電します。

Quick Charge(QC)はQualcommによる急速充電規格です。 バージョンがあり、給電器、デバイス(ほとんどの場合スマートフォン)、ケーブルの全てがそのバージョンのQCに対応している必要があります。 急速充電は最大12Vまで昇圧することで実現します。

Androidスマートフォンの多くはQualcomm製のSoCを採用しており、対応端末も比較的豊富です。 ただし、充電器に関してはあまり対応品がありません。

Huaweiは電圧を上げる方法と電流を上げる方法2つの独自の急速充電方式に対応したスマートフォンを販売しています。

Pump Expressは日本では馴染みの薄いMediaTekによる急速充電規格です。 Qualcommに対抗したMediaTek版だということができます。 Pump Express対応充電器が非常に手に入りにくいです。7

USBではありませんが、iPhoneはLightningによる充電で12W給電に対応しています(iPhone6/6s/7)。

インテリジェント充電に対応した充電器(たとえばAnkerのPowerIQ, AukeyのAiQなど)は、USB BCでの充電を可能にし、USB BC 1.2によって機器にとって最適な電気を流し、かつAppleの12W給電にも対応しています。

現実的にはこのような高機能な充電器と大電流に対応したケーブルを使うことで8問題を比較的簡単にすることができます。高機能なチャージャーはこだわって購入する必要がありますが、ケーブルに関してはダイソーに2.1Aの、CanDoには2.4Aの充電用ケーブルがあります。9

オルタネートモードとThunderbolt3

USB 3.1 Type-Cには「オルタネートモード」というものが追加されました。 これは、USB3.1の中で用途が決まっていない一部の信号線を使って特有の使い方をしても良い、というものです。

この中で最も多用されるのは、「オルタネートモードで映像出力をする」というものです。 USB Type-Cから「HDMIまたはDisplay Portの映像信号」を出力できるようになりました。

これまで使われていたUSB接続のディスプレイアダプタは、「計算して映像を作り出して信号を出す」ための装置です。 対して、USB 3.1 Type-Cのディスプレイアダプタは、単に「差込口の形を変えて信号を流す」ためのアダプタにすぎません(特に計算したりはしません)。

そのため、USB 3.1 Type-Cのディスプレイアダプタは、オルタネートモードでの映像出力に対応していないUSB 3.1 Type-Cソケットに挿しても映像出力されません。

また、Thunderboltという、USBとは別の規格がありました。 これは、USBよりもより高速で、映像出力などより幅広く使うことができる規格になります。

そして、Thunderbolt3は「USB Type-Cのオルタネートモードを使う」という構造になっています。 これにより、コンピュータ側のThunderbolt3ソケットは「USB Type-Cのケーブルを使ってUSB機器につなげばUSBとして、Thunderbolt3のケーブルを使ってThunderbolt機器につなげばThunderboltとして」動作します。

今のラップトップではUSB 3.1 Type-Cのひとつ、あるいはいくつかがThunderbolt3端子になっているということが多く、「USB 3.1 Type-Cであり、オルタネートモードでDisplayPortによる映像出力ができて、Thunderbolt3ケーブルでThunderbolt3機器と接続もできる」というものを結構見かけるようになりました。 さらに、「OTGポートで充電もできる」がついていたりします。

形状が違う「USB Type-C」との付き合い方

USB 2.0/3.0にも対応したことからもわかるように、今後USBの接続規格はType-Cに置き換えていく、という意図があります。

そのため、従来の機器とは変換ケーブルや変換アダプタを用いて接続する、ということになっています。 もちろん、それは手間ですし、そのような変換を伴っているとType-Cの良さというのは全く活かされないのですが、過渡期だから仕方ないと言えるでしょう。

USB 3.1 Type-Cを用いた機能は優れていますが、「期せずして新しいスマホにしたらUSB Type-Cだった」という場合、片側がUSB Type-A、片側がUSB Type-Cのケーブルを購入することで従来の充電器を活用することができます。 また、もうひとつの方法として、「USB Type-C オス/Micro USB 2.0 メス」というアダプタを用いることで従来のケーブルも活用することができます。これまでmicroUSBのスマートフォンで充電にもこだわってきた人であれば、このほうが良いでしょう。AUKEY製のアダプタで400円ほどですし、お手軽です。

ラップトップで従来型の機器(特にマウスUSBメモリーなど)を使うためにはハブがあると良いでしょう。

ラップトップのUSB Type-Cを使い倒す

hp Spectre13などは「端子はUSB 3.1 Type-Cのみで3つ」という構成になっています。 そこまで極端なものは少ないですが、それでもUSB Type-Aソケットは減りました。

インターフェイスがUSB 3.1 Type-Cに集約された都合で色々と機能が減りましたから、 「複数の機能を持つType-C機器を接続して外部でインターフェイスを増やす」というスタイルが一般化しつつあります。

私が使って「よかった」アイテムをご紹介しましょう(残念ながらその多くは廃盤ですが)。

まず、Qtuoの多機能ハブ。 USB 3.0 Type-Aがふたつ、カードリーダーつき、さらに有線LANも備え、非常に使いやすい構成です。 ちょっと大きめですが、海外を含む旅行や出張には最適かと思われます。 アダプターは付属していませんが、セルフパワーにも対応しています。

Ottimのハブは極めてコンパクトで、携行が苦になりません。 USB Type-CしかないSpectreのようなコンピュータでは「USBメモリでやりとりもできない」ような事態を避けるために、持ち運ぶことになるでしょう。

QtuoのHDMIつきハブはビジネスマンにとって心強い存在です。 USB Type-Aポートがあるためにマウスを接続したり、USBメモリーでやりとりをできる上に、HDMIがあるためにHDMI接続のプロジェクターに接続することもできます。 ThinkPadのように、USBとHDMIを備えるラップトップなら不要ですが、今後より集約が進んだ場合は不可欠になるかもしれません。 こちらは在庫切れですが、同じものがAmazonで見つかります。

GooQeeは薄型で同じようなコンセプトのものを販売しており、こちらはUSB以外の端子について、LAN、HDMI、DisplayPortから選択できます。 また、このほか「非常に小型でUSB-Aが2つ、SD, microSD, HDMIを備える」というハブも同じものが複数の出品者から出ています。

もし、逆に「外では特に何かを接続したりする機会はないけれど、家ではマウスも使うし大きな画面で作業したい」という人であれば、AUKEYの三角錐ハブがお薦めです。 USB 3.0 Type-Aのときから優れた安定感を誇るこのハブは、転がってしまったり浮いてしまうことがありません。 こちらはHDMIですが、VGAモデルはより安価です。

メーカーオプションに非常に多機能なハブがラインナップされるようになりましたが、家で唯一のコンピュータとして使う場合を除けば、あまり必要ではありません。 逆にそのようなケースにおいてはそうしたものがあるとだいぶ便利に使えるようになりますが、使い方によるため必須ではありませんし、また端子の異なる様々な商品が売られていることを覚えておくといいでしょう。

また、SpectreのようなType-Cに依存したラップトップを使用するビジネスユーザーであれば、「実際に使用する必要最小限にして十分な機能を備えたなるべくコンパクトで軽量なもの」を探すことをおすすめします。

おおよそ次のような判断になると思われます。

ポート 用途
Type-A マウスキーボードUSBメモリーなどの接続と、(Type-C同士である場合を除く)スマートフォンとの接続
カードリーダー カメラなどの写真の取り込み (Type-A接続のカードリーダーを使う方法もあります)
VGA (D-Sub) オルタネートモードで動作。プロジェクターや、古めの事務用のディスプレイへの接続
HDMI オルタネートモードで動作。新しいプロジェクターや、多くのテレビ、ディスプレイへの接続
DisplayPort オルタネートモードで動作。高機能プロジェクターや、4kサポートなどのある上級モデルのディスプレイへの接続
RJ-45 (LAN) ホテルや自宅、事務所などでの有線LANの接続
Type-C Type-Cポート自体が不足する状況においてType-Cを埋めてしまわない

個人的な経験で言いますと、自宅や事務所などで使用する場合は、USB Type-Aポートは4ポートは欲しいところです。 これは、キーボード、マウスを接続する場合はこれだけで2つ使いますし、あとはプリンターを接続し、USBメモリなどを差すための空きポートを1つは確保しておく、ということです。

逆に持ち運びでは2ポートもあれば十分で、マウスとUSBメモリーが同時につかえて、それ以上ならマウスを抜けばいい、と考えられます。 それよりは携行性のほうが大事でしょう。

RJ-45については、外で接続することは稀になってきています。 ホテルでも、直接接続することを考えるよりは、小型のWiFiアダプタを使用するほうが良いでしょう。 ただし、自宅で使用する場合は断然有線です。ないと困ると言っていいと思います。

Type-Cポートの増設は、おそらく必要ありません。 現状ではType-Cポートは余る可能性のほうが高いと言えます。

カードリーダーはカメラ(スティル、ムービー問わず)を使う場合は必須ですが、 Type-Cでの直接接続には限りません。 すべてスマホで済ます方はなくても大丈夫でしょう。

ビジネスで使用する場合、映像出力端子がないのは困ると思います。 VGAかHDMIかは使用状況に合わせて選択します。

自宅で大きなディスプレイを使用したい場合は、HDMIかDisplayPortを選択することになるでしょう。 DisplayPortであればHDMIのディスプレイと接続することもできますが、実際のところそのような変換ケーブルは割と不安定です。しかも、DisplayPortを持つディスプレイはかなり高級なものに限られます。 VGAとDVI-Dしかないというディスプレイは低価格モデルにはよくあります。この場合はVGAを選択するか、もしくはDisplayPortと変換アダプタということになるでしょう。

また、USB 3.1 Type-CのPD充電に対応しているものは、「出力が足りるPD対応のモバイルバッテリー」で充電することができます。 最近のモバイルラップトップはバッテリー組込式で交換できないものが多くなっていますが、 こうしたものを使用することで「スマホなどもまとめての予備バッテリー」として機能します。

多くのモバイルバッテリーは出力は30Wにとどまるため、Core mシリーズなど超消費電力プロセッサを搭載したラップトップ(例えばMacBook)でなければ充電できないでしょう。

ルートハブ

USBの速度ですが、接続した機器がすべて規格どおりの速度で動きそうに見えますが、 実はコンピュータ内部ではひとつのホストコントローラから複数の(内部配線用の)USBケーブルが出ています。

ホストコントローラから複数のUSBに分岐している部分をルートハブといいます。

/:  Bus 10.Port 1: Dev 1, Class=root_hub, Driver=uhci_hcd/2p, 12M
/:  Bus 09.Port 1: Dev 1, Class=root_hub, Driver=uhci_hcd/2p, 12M
/:  Bus 08.Port 1: Dev 1, Class=root_hub, Driver=uhci_hcd/2p, 12M
    |__ Port 1: Dev 2, If 0, Class=Hub, Driver=hub/2p, 12M
        |__ Port 2: Dev 3, If 0, Class=Human Interface Device, Driver=usbhid, 12M
/:  Bus 07.Port 1: Dev 1, Class=root_hub, Driver=uhci_hcd/2p, 12M
/:  Bus 06.Port 1: Dev 1, Class=root_hub, Driver=uhci_hcd/2p, 12M
/:  Bus 05.Port 1: Dev 1, Class=root_hub, Driver=uhci_hcd/2p, 12M
/:  Bus 04.Port 1: Dev 1, Class=root_hub, Driver=ehci-pci/6p, 480M
    |__ Port 2: Dev 3, If 0, Class=Video, Driver=uvcvideo, 480M
    |__ Port 2: Dev 3, If 1, Class=Video, Driver=uvcvideo, 480M
    |__ Port 2: Dev 3, If 2, Class=Audio, Driver=snd-usb-audio, 480M
    |__ Port 2: Dev 3, If 3, Class=Audio, Driver=snd-usb-audio, 480M
    |__ Port 4: Dev 4, If 0, Class=Vendor Specific Class, Driver=snd-usb-caiaq, 480M
    |__ Port 5: Dev 5, If 3, Class=Vendor Specific Class, Driver=, 480M
    |__ Port 5: Dev 5, If 1, Class=Vendor Specific Class, Driver=, 480M
    |__ Port 5: Dev 5, If 2, Class=Vendor Specific Class, Driver=, 480M
    |__ Port 5: Dev 5, If 0, Class=Vendor Specific Class, Driver=, 480M
    |__ Port 6: Dev 6, If 0, Class=Hub, Driver=hub/4p, 480M
        |__ Port 1: Dev 7, If 0, Class=Human Interface Device, Driver=usbhid, 12M
        |__ Port 1: Dev 7, If 1, Class=Human Interface Device, Driver=usbhid, 12M
/:  Bus 03.Port 1: Dev 1, Class=root_hub, Driver=xhci_hcd/2p, 10000M
/:  Bus 02.Port 1: Dev 1, Class=root_hub, Driver=xhci_hcd/2p, 480M
/:  Bus 01.Port 1: Dev 1, Class=root_hub, Driver=ehci-pci/6p, 480M

ですから、転送量の多い機器を複数接続しているとそれぞれの機器の速度は低下する可能性があります。

場合によってはこれは電力にも言え、同じルートハブに電気を多く使う機器を接続すると電力不足で動作しないこともあります。

頭がパンクしそうな人のためのアドバイザリ

接続して認識してるっぽいけれど動かない

電気が足りないのかもしれません。 機器に補助電源を接続するところはありませんか?

USB 3.0は必要?

ほとんどの機器はUSB 2.0の480Mbpsを越える速度でのデータアクセスができません。

意味があるのは次のケースです。

ディスクドライブに関しては給電のためにUSB 3.0で接続する必要があるかもしれません。

ケーブルはつながればなんでも大丈夫?

接続はできるでしょうけれども、もしUSB 3.0機器をUSB 2.0ケーブルで接続すると、速度はUSB 2.0の速度になります。

なんでこんなに種類があるの

進化と試行錯誤を重ねてきたからです。

「昔のやつ」や「失敗したっぽいやつ」や「もっといいのが出てきたからいらなくなったやつ」がたくさんあります。

スマホをUSB-Cのやつにすると嬉しい?

必要な機器を揃え直すのは構わないのであれば、充電が速くなって嬉しいかもしれません。

まだあまり普及していないせいもあって、USB Type-Cの嬉しさはいまひとつ、むしろ今までのものが(アダプタなどを揃えないと)使えなくなって不便です。

充電がとても遅い

ケーブルを充電専用のものにしたり、高電流対応のものにすると改善するかもしれません。

また、充電器の能力が足りないのかもしれません。 最近のスマートフォンやタブレットは1Aの充電器での充電は難しくなっています。

USBの形状が区別できない

uzurea.netに、プラグ側だけですがわかりやすい図があります。

また、Amazon basics用の画像が一部ですが、わかりやすいものになっています。

Amazon basics USB ケーブルファインダー

従来のスマートフォンやその他に急速充電したい (iPhoneも)

まずは用意

高機能な充電器と、急速充電に対応したケーブルを用意します。

定番はAnker製品です。 この製品はQC 3.0に対応したポートがひとつ(色付きのもの)、PowerIQに対応したポートが5つあります。

さらにあなたが使用する機器の充電に適したケーブルを用意します。

普通のmicroUSB (スマートフォン,オーディオプレイヤーなど)

Quick Chargeを使用しないのであれば、microUSBケーブルはダイソーやCanDoでも入手可能です。2Aや2.1Aのケーブルが良いでしょう。

Qualcomm Quick Charge(QC)対応 microUSB スマートフォン

Quick Chargeにも対応したケーブルはAmazonで探すことができます。Anker PowerlineはQC 3.0に対応します。

miniUSB

もしminiUSBの機器を使用しているのであればminiUSBケーブルが必要です。 miniUSBを使う場合は0.5A以外での給電はできないため、急速充電はそもそも不可能です。

miniUSBケーブルは100円均一ショップでも販売されていましたが、最近は機器自体が少なくなったため入手は困難になりつつあります。

iPhone, iPad, iPodなど

iPhoneなどを使っている場合は急速充電に対応したUSB-Lightningケーブルを使う使用します。 AnkerやAmazon basicsなどは発火報告が少なくないため、RAVPowerのものが良いようです。

新しいUSB Type-C機器も含めていい感じに充電したい

まず、従来のmicroUSBの方法を確認してください。 同じように充電に適したmicroUSBケーブルが必要です。

これに加えUSB Type-Cに対応するため、

充電器を用意します。

このようなものとしてはAukeyの製品が今のところ定番です。

さらに高電圧・高電流に耐えるUSB Type-Cケーブルを用意します。 たとえばAnkerのこのケーブルはUSB PD 20V/3Aと、QC 3.0に対応します。

USB-Cデバイス(USB Type-Cを搭載したスマートフォンなど)に使用する場合はUSB-Cケーブルで接続します。片側がUSB Type-A, 片側がUSB Type-Cのケーブルでは実力を発揮できません。 また、Aukeyの充電器は30Wしか出力できないため、ラップトップパソコンに充電する場合はスリープやシャットダウンにする必要があるかもしれません。


  1. なお、iPhone Xのバッテリー容量は2,716mAh、iPhone 8は1,821mAh, iPhone 7は1,961mAhです。↩︎

  2. 読み書きしているときは2W程度必要だったりしますが、少ない電気でもちゃんと動作するようです。↩︎

  3. USB3.0の機器をUSB2.0で接続すると、ちゃんと接続はできるし認識もされるけれど電気が足りずに動作しない、というケースもあります。特にブルーレイドライブなどではありがちなケースです。↩︎

  4. 普通はUSB PDに対応した充電器はすべてのプロファイルに対応していると思いますけれども。↩︎

  5. 例えばLenovoのアダプターは170g、Appleの61Wアダプターは192gです。従来と比べるとかなり軽くなりましたが、45Wから60W程度のアダプターは135g程度の製品がみつかります。↩︎

  6. D+とD-がつながっていると充電専用モードになります。↩︎

  7. 日本では馴染みが薄いので日本では手に入りにくい、のではなく、海外通販でも入手はだいぶ困難です。↩︎

  8. 私はVolutzのFluxIQ対応6ポートチャージャー2A以上に対応したケーブルを使用しています。↩︎

  9. ただし、ダイソーやCanDoのケーブルは破断が比較的多く、消耗品感覚になります。特にCanDoの2.4A対応ケーブルは弱いです。↩︎

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